天然香料と合成香料のメリットとデメリットを理解し、違いを見極める

香水

生活の中で当たり前のように溶け込んでいる香り。

実は、香りには様々な効果が期待できます。

トイレタリー製品、コスメ、洗剤、アロマ、柔軟剤、日用品にも欠かせない重要な要素の一つです。

「この香り好きだな」と購入した製品も多いのではないでしょうか?

そして、それらの香りを見事に演出しているのが”香料”です。

香料は、合成香料と天然香料の2つです。

それも明確な違いがあります。

それぞれメーカー側はターゲットを絞って配合しています。

では、合成香料と天然香料の明確な違いはどこにあるのでしょうか?

その違いをメリットとデメリットを提示しながら、違いについて多角的にご紹介していきます。

この記事を読み終える頃には、香りを嗜むかっこいいメンズになりましょう。

合成香料と天然香料の違いは

結論から話すと、合成香料と天然香料の明確な違いは”自然由来のものかどうか”という点だけです。

合成香料は「人工的に作られた香り」、天然香料は「自然そのものの香り」だと認識してもらったら問題ないです。

そこで疑問になるのは、「違いがあることはわかるけど、結局はどちらがいいのか」ということです。

これについては『使用する場面によって違う』というのが答えです。

その理由をそれぞれの基本的な特徴と情報から考察します。

人の手によって精製・製造された「合成香料」

化学

合成香料は化学反応を使って人工的に作られた香りです。

合成香料の種類は、3000以上あると言われており、自然界には存在しない個性的な香りを作り出せます。

また、作る方法は、大きく2つの方法があります。

①自然のものを素材にして特定の芳香物質を抽出した方法

自然の香りに近づけるため、他の植物から同じ芳香物質だけを抽出して、似たような香りを作り出す方法です。

例えば「ローズ」の香りは、本物の薔薇から抽出すると費用が相当かかります。

そのため、「ローズ」と同じ芳香物質を持つ別の植物から、特定の成分だけを取り出し、似たような香りを作っています。

「レモン」「オレンジ」など頻繁に見かけるものは、この方法で作られることがあります。

②石炭や石油などから抽出した原料を使って人工的に作る方法

天然香料は、植物の生育条件によって香りの質や濃度にばらつきが出る可能性があります。

合成香料は統一された香りを安定的に製造できるのがメリットです。

そして、優しく香る天然香料よりも、その香りが長時間持続します。香水や部屋、トイレの芳香剤などに向いているので、商品にも頻繁に使われています。

自然界の動植物から抽出した「天然香料」

自然

天然香料は、自然界に存在している中から抽出されるので、「動物性」と「植物性」の二つに分けることができます。

この二つは文字通り動物由来か、植物由来かで分けられます。

動物性香料は、ワシントン条約で保護されている動物などから採取できるものを指します。

現在は動物愛護の観点などから天然のものは少なくなっています。

動物の分泌物などから抽出されています。絶滅の危険があるので、ワシントン条約で保護されています。とても貴重な動物のため、市場に出回っている多くの化粧品は、それらの香りを合成して再現したものが使用されています。

代表的なものは「カストリウム・海狸香(ビーバー)」「ムスク・麝香(ジャコウジカ)」「シベット・霊猫香(ジャコウネコ)などです。

植物性香料は、アロマテラピーなどでも使われるエッセンシャルオイル(精油)のことを指します。

エッセンシャルオイル(精油)は100%天然植物から抽出したものです。

一本のエッセンシャルオイルには数10〜100種類の成分が含まれています。

天然のものなので、植物の状態や植物が育った環境によって個体差がでる可能性があります。

また、抽出する方法は大きく4種類あります。

①水蒸気蒸留法:エッセンシャルオイルを抽出するために蒸気の力で植物の葉や花びらを熱する方法

②溶剤抽出法:原料を溶剤に浸し、溶け込ませてから水気を飛ばしすなどして抽出する方法

③圧縮法:シトラスなど柑橘の抽出に適しているレモンの皮やオレンジの皮を圧搾機で搾り取ってから、遠心分離機などで分離して抽出する方法

④浸透法:バニラなどに使用されており、原料をアルコールに漬けて匂いを染み込ませた方法

他にもさまざまな種類があります。

「ジャスミン油」「ラベンダー油」「レモン油」「ローズ油」「オレンジ油」「ペパーミント油」「ナツメグ油」「ユーカリ油」「バニラ油」「シナモン油」など、植物の様々な部分が、さまざまな方法で香りへと様変わりしています。

「合成香料」のメリット・デメリットを教えて!

”合成”と聞くと「体に悪そう…」と思う方が多いと思います。

それでは、体に合成香料は本当に悪いのか、合成香料だからのメリットや違いをみていきましょう。

合成香料のメリットは?

安定した香り

石炭・石脂などの石油系原料から作られた香りの一番のメリットは「安定した香り」つまり「産地等によるムラがない」「持続する」ということです。

「持続する」という点では、人工的に作られているので、香りの強さや濃さがあります。

また、空間への広がり方が良いとされています。ルームフレグランスや芳香剤、香水などにはもってこいです。

供給量が安定し、安く手に入る

自然由来の植物はどうしてもその年、季節、収穫、残存率などの影響を受けてしまうため「あの香りの植物は希少種だから…」「今年は収穫が少なかった」など、供給が安定しているとは言えません。

また、メジャーな香りである「ローズ」のエッセンシャルオイル(精油)を作るとなると、1滴作るのに約60本分の花びらが必要にです。

その点、人工的に作り出せる合成香料は安心です。

メーカーとしても安定した供給が見込めないとラインナップに加えることができません。

そして、安定した供給ができるため、安く手に入れることができます。

現在では、100円ショップなどで安くアロマオイルを手に入れることができます。

安いアロマオイルは精油・エッセンシャルオイルではなく、合成香料を使用したアロマオイルですが、気軽に試すことができるのは大きな魅力ですね。

合成香料のデメリットとは?

香りが強すぎる

メリットでもありますが、香りが長時間持続すると洋服や持ち物、部屋のカーテンに染みついてしまうこともあります。

常に同じ香りを欲している方にとっては、特に問題ではないです。

しかし、その日の気分によって香りを変えたり、他の香りを楽しみたい方にとってはデメリットだと思います。

例えば、「午前はこれ、午後はこれ」と時間帯で香りを変えて気分をリセットしたり、「仕事中はこれ、お出かけはこれ」といった仕事とプライベートで分ける人もいるでしょう。

なかには、香りが濃くて強い場所にずっと居ると気分が悪くなったり、頭が痛くなったり、めまいを引き起こす人もいます。

天然香料だとそういった心配はほとんどありません。

合成であること特有のリスクを知る

”合成”ということは化学物質の一種です。

知らず知らずのうちに、皮膚から体内に化学物質が吸収されています。

化学物質の摂取し過ぎは、様々なリスクがあると考えられています。

取り込んだ化学物質を分解するのに、多くの酵素を必要とします。

そのため、体温低下や免疫力などのリスクを高める可能性があります。

全ての化学物質を生活から取り除くことは難しいですが、上手い話にはウラがあるということを知って、注意することも重要です。

「天然香料」のメリットとデメリットとは

メリット

「天然のものは体に良さそう」となんとなくイメージを持っている人が多いと思います。

それでは、実際にどんな良いことや効果が効果があるのか、その違いを具体的に説明します。

あわせて、天然だからこその難しさなども紹介します。

正しい知識を身につけて、天然の良さを更に感じましょう。

天然香料の4つのメリットとは

天然香料の最大の魅力は、合成香料と同じ香りだとしても、香りだけではなく体と心の両方にも効くということです。

香りの成分は、嗅覚を介して約0.2秒で脳へ伝わり、自律神経やホルモンをコントロールする器官へ働きかけます。

例えば、ラベンダーの香りは、幸せホルモンと呼ばれているセロトニンを脳から分泌させます。

セロトニンは副交感神経を優位にし、リラクゼーション効果をもたらしてくれます。

他にも様々なエッセンシャルオイル(精油)を使うことで、次のような効果が期待できます。

  • 身体の機能を向上させる効果
  • 気持ちを落ち着かせるリラクゼーション効果
  • ウイルスや害虫から身を守る効果
  • ホルモンバランスを整える効果

合成香料では、心身に直接的に効果を与えるのは難しいです。

まさにエッセンシャルオイル(精油)ならではのメリットです。

心を豊かにするツールとしてエッセンシャルオイル(精油)は重宝します。

また、香りの強さや濃さに関しても、ふんわりと優しく香るため、人を選びません。

自然であることが更に健康維持にも繋がり、アロマテラピーなどは療法の一種とされています。

天然香料の3つのデメリットとは

保存料が入っていないので保存が難しい

保存料が入っていないため、身体にしてみると良いことなのですが、やはり保存するために気を付けないといけない点もあります。

  • 開封したら可能な限り早めに使い切る
  • 高温多湿の場所での保管を避ける

この2点に関しては必ず守らないといけません。

せっかくの良い香りが半減してしまったり、保存期間を過ぎたコスメを使うことで身体に害を与えたりする可能性があります。

質にばらつきがあり、安定供給できない種類も存在する。

自然のものなので、産地や季節によって、品質にばらつきが出てしまうのはデメリットです。

しかし、消費者としては安定した品質を求めてしまうのも事実です。

ワインやコーヒーなどのようにその違いを楽しむというわけにはいかないです。

メーカーとしても、供給が安定しない、希少な香りも存在するため、ラインナップに入れにくいです。

不純物が多く含まれている

これも自然物ならではのデメリットです。

芳香成分以外の不純物として、油脂、色素、呈味成分(味を感じさせる成分)、レジン(樹脂)を含むので、保存性の悪さや質の安定性に欠けるという特徴があります。

むしろ、芳香成分以外の成分があることで、健康や美容に良いというプラスの効果もあります。

また、不純物も含めて複数の成分が入っているので、お肌への刺激になる可能性が高くなるとも言えます。

違いを見極めるポイント

原材料に「アロマオイル」や「ポプリ」などの記載があっても、天然のものではなく合成香料の可能性があります。

「精油」「エッセンシャルオイル」という表記がなければ、フレグランスやコスメ等に使われている香料のほとんどは合成香料です。

アロマテラピーに興味がある方は、使用する精油は必ず「精油」「エッセンシャルオイル」と書かれているものを選びましょう。

100円ショップなどで置いているアロマオイルは、その安さゆえ合成香料の可能性がほとんどです。

植物から抽出した天然の精油は高価格なので、100円で販売されていることは稀です。

フレグランスとして使用するなら、好都合かもしれませんが、アロマテラピーのように「アロマの香りで効果や機能を実感したい」と思っている方は効果が半減しないためにも、本物のエッセンシャルオイルを必ず使いましょう。

また、確実に精油やエッセンシャルオイルを購入したい方は専門店を訪れましょう。

それぞれの違いについて、知識が豊富な方が丁寧に対応してくれます。

自分の望む効果に適した香りに出会える機会になると思います。

シーンによって上手く使い分けて、ステキな香りライフを過ごしましょう

”合成”も”天然”もどちらにもメリットやデメリットがあり、一長一短です。

"香料"と聞くとマイナスなイメージを持つことも多いですが、TPOに合わせて上手く香りを使い分けることで恩恵を受けるのも確かです。

しかし、「デメリットがどうしても気になる…」という方は”無香料”の製品を使ってみてください。

オーガニック製品であれば更に安心です。

また「これまで何もわからず、合成香料を使用していた」という方のなかには、香りに対する感覚がマヒしている方もいるかもしれません。

そのような方は無香料の製品を一定期間使うことで、香りの感覚をリセットする機会になるかもしれません。

合成、天然、そして無香料を上手く使い分けて、自分自身にあった素敵な香りライフを送ってみましょう。